0~5歳の特徴と予防のためのアドバイス
乳歯は、生えたときから虫歯になるリスクを抱えています。また、哺乳瓶をくわえたまま長時間過ごしていると、虫歯になりやすいので注意が必要です(哺乳瓶う蝕/ボトルカリエス)。ここでは、0~5歳までの乳幼児のお口の特徴とケアの注意点をご紹介します。
妊娠中のママに気をつけてほしいこと(胎児期)
赤ちゃんのお口の健康のために、妊娠中からも気をつけられることがあるのをご存じでしたか?
妊娠中は、つわりや女性ホルモンの関係などで歯周病になりやすくなっています。歯周病は、早産や低体重児出産などを引き起こすことがありますので、健康的な赤ちゃんを産むためにも、お口の健康を維持するために定期検診に通いましょう。
また、お母さんの日々の生活習慣は、お腹にいる赤ちゃんの発育を左右します。歯だけでなく、さまざまな器官の十分な発育・形成のためにも、ストレスの少ない生活、バランスのよい食生活や十分な睡眠を心がけましょう。
生後すぐから2歳半ころまで(授乳期)
生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には虫歯菌は存在しません。では、感染源はどこにあるのかというと、ママをはじめとする周囲の大人たち。ミルクや食べ物の温度を確認するために大人が口をつけたり、赤ちゃんのお口に入る食器やタオルなどを共有したりすることで虫歯菌が感染してしまうのです。とはいえ、毎日の生活の中で家庭内感染を完全に防ぐことは困難。それより前の対策として、ご家族全員で予防に取り組み、お口の中から虫歯菌を減らしておきましょう。
また、最近、栄養補給のためとスポーツドリンクや乳酸菌飲料を哺乳瓶に入れて飲ませる、という話を聞きますが、スポーツドリンクや乳酸菌飲料には糖分が多いため、虫歯リスクを高めます。スポーツドリンクや乳酸菌飲料は、ご自身でケアができるような年齢になったら与えるようにしましょう。
2歳半から5歳ころまで(幼児期)
虫歯予防には、日々の生活習慣がとても重要です。悪いところがなくても、歯医者さんの雰囲気に慣れるためにも定期検診に通いましょう。またこの時期にお口の健康のアドバイザーの国家資格を持つデンタルハイジニスト(歯科衛生士)がお子様とマンツーマンでブラッシングの練習を行います。その後にお母様に「仕上げ磨き」のアドバイスをさせていただきます。フッ素塗布などの予防処置なら痛みがないため、歯医者嫌いになる心配もないと思います。また、しっかり噛むことやお口の中をさっぱりさせる感覚を身に付けさせてあげましょう。
この年代で関わりの多い治療 ~小児歯科~
お子様の歯の健康について、どれくらい気遣っていますか? 乳歯は虫歯になりやすいうえに、一度虫歯になってしまうと進行が早く、その後に生えてくる永久歯にも影響が出ることがあります。そうならないように、定期的に適切な予防を心がけましょう。ここでは、当院で受けられる予防メニューをご紹介します。
歯磨き指導
毎日の歯磨きは、虫歯予防の基本です。お子様だけではうまく磨けないので、親御さんが仕上げ磨きをしてあげるなどして一緒に取り組む必要があります。当院では、歯科衛生士がお子様一人ひとりに適した、正しい歯の磨き方を指導します。
シーラント処置
汚れがたまりやすい奥歯の溝を、虫歯にならないように薄いプラスティックで埋める予防処置です。乳歯はもちろん、特に虫歯になりやすい生えたばかりの永久歯にも効果があります。
フッ素塗布
歯の表面にフッ素を塗布することで、エナメル質を強化する予防処置です。歯を修復する再石灰化の機能を高める効果もあるので、ごく初期の虫歯であれば完治も期待できます。
食育の大切さ
「食育」にはさまざまな意味がありますが、その一つが、お子様に正しい食生活を身に付けさせ、健やかな成長に導くことがあげられます。たとえば、やわらかい食べ物ばかり与えていたり、栄養バランスが偏った食事が多かったりするとお子様の顎の骨の発育を妨げることにもつながります。また、食事は、お子様の発育を促すだけではなく、楽しい食卓を囲むことで心も豊かにするためにとても大切な行為です。お子様のお口の健康を守るためにも、食事から見直してみてはいかがでしょうか?
おやつの工夫で歯の健康な発育を促しましょう
虫歯は、お口の中に残った食べカスに含まれる糖分を栄養源として虫歯菌が「酸」を生み出し、その「酸」によって歯が溶かされることではじまります。お子様の大好きなおやつには糖分が多く含まれているものが多いため、できるだけ糖分の少ない「おやつ」を工夫して虫歯からお口の健康を守ってあげたいもの。果物やいも類などの自然の甘みが感じられるものをあげるとよいでしょう。また、カルシウムも豊富な煮干しなどをおやつにしてもいいですね。特に煮干しはしっかり噛む必要があるため、顎の発達を促し、お口の浄化作用がある唾液の分泌も促してくれます。
さらに、お口の中に糖分が長く残っている状態は、虫歯リスクを高めることになります。そのため、お口の中に長く残りやすいガムやグミなどはできるだけ控えましょう。そして、ダラダラと食べさせることはやめ、できるだけ規則正しくあげましょう。なお、この頃は奥歯が生えてくる時期でもあるので、おやつの後は歯間ブラシなどを使ってお母さんがしっかりケアしてあげることも大切です。食後はブラッシングが難しければうがいでも構いません。
歯の強い子になってほしいなら
自分の歯を生涯にわたって使い続けるためには、歯質が強いことも関係してきます。そして、その歯質の決定には、妊娠初期からのお母さんの健康状態や栄養摂取が影響すると考えられています。歯のもととなる「歯胚」は、妊娠4~6ヶ月ころから石灰化しはじめるため、ビタミンAやビタミンC、E、カルシウムやリンなどをまんべんなく摂りましょう。